プランは、いつもお客様のご依頼にお応えすることを最優先に考えますが、暮らし方や動線やイメージを考えながら、もう一つ重要な構造的な安全性を考慮しながら設計をします。
10年位前のお話ですが、木造2階建ての注文住宅のご依頼をうけました。ご要望を伺っていくと開口部を二方向に大きくそしてテラスドア掃き出しの連窓を南側3.6m+東側3.6m高さ2.4mで、すべて開放でき角には柱がないほうが良いとのことでした。
こういう場合は、一部鉄骨の柱梁や特殊木造の梁を跳ねだしで架けようが角の柱を抜いた場合の建物の安全性=強度の確保が難しいこと、また2階が1階に載っていることから、地震の際に建物にねじれが生じ、また2階の荷重を1階で分散できず強度を確保できないことをご説明しました。
敷地面積が限られているので、コンサバトリーやサンルームを建て光と庭の木々や植物を感じていただくことも、容積率・建蔽率(けんぺいりつ)オーバーでできません。またリビングや各部屋の広さをご要望にお応えして最大に設けました。こういう場合は、優先順位を整理していただいて、その優先順位にあったプランをデザインします。但し、構造的な安全性は必ず確保しなければなりません。
前載の写真は、リノベーションで、玄関・リビング・寝室・ワンちゃん7匹のお部屋・ウォークインクローゼット等、構造の補強なども含めてのご依頼をいただき、また、ワンちゃんたちが雨の日や猛暑の時に屋外を感じながら過ごせるお部屋の増築とのご要望でしたので、日本のサンルームのメーカーの物をご提供した際の写真です。容積率・建蔽率に余裕があり、ご予算にも余裕がある場合は、もう一つのリビングとして設けました。ガラスはペアガラスで、エアコンをつけ、電動の天井シェードも設け、夏涼しく、冬暖かくの計画としました。
こちらのサンルームの横にはテラス屋根を設け、雨の日でもワンちゃんたちをお庭で運動させることができるプランです。奥様からDIYがお好きとお聞きしたので、ガーデンテーブルやチェアやベンチなどを高圧洗浄にかけてから白のペンキで塗ることをご提案しました。毎回住宅だけではなく庭創りのデザイン等も、ほとんどの新築の場合ご依頼をいただきますのでご提案しています。家のデザインコンセプトからかけ離れたデザインにならないようにとのご依頼がほとんどです。コンサバトリーはイギリスで18世紀に取り入れられた植物のために特化したガラスルームです。サンルームは、日光を楽しむためのガラスでできた部屋と一般的には言われていますが、コンサバトリーもダイニングテーブルやソファなどをおいて屋外の木々や植物を眺め、日光を楽しむために過ごす部屋となっています。
さて、木造2階建ての地震対策として、約9年前から金属流動を利用した制震ダンパー:ミューダムR(壁倍率2倍シリーズ)を取り入れています。





オイルやゴムのダンパーは劣化の問題がありますが、このダンパーは鋼材とアルミの摩擦から金属流動し、地震エネルギーを熱に変え、揺れを軽減します。またまとまったプラン(実施図面)をアイディールブレーン社へ送り、耐震+制震の計算をし、設置場所と設置個数をそのデータに従い、設置しますので、2階で8カ所+1階は24カ所などという場合もありますが、信頼が重要だと考えています。(小さなダンパーを2, 3ヶ所設置し、ダンパーを付けていますという建設会社があり、その信頼の根拠はどこにあるのでしょうか?)
耐震・制震ダンパーは日本では、現在のところ信頼度が高いダンパーだと思っています。
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