建築デザイナーブログ

土地を選ぶということ(土地から考える家づくり)

今回は、建物を建ててきた経験から、土地について少しお話ししようと思います。
土地から探してくださいとのご要望をいただくこともあり、その方々にはご希望のエリアから、お伺いしたご要望に合う土地情報をお送りしますが、お客様自身でも探しているエリアの地元の不動産会社を回って探していただくこともご提案しています。やはり、地元の古い不動産会社は地主さんなどとのつながりがあり、また深いからです。思わぬ情報がでてくることもあり、価格的にも交渉可の場合が多々あります。
今まで、土地を探されているお客様からの場合は、弊社、不動産部からのご紹介物件と、お客様自身が見つけられる場合は半々くらいです。

でも、一番多いのは、やはりすでに土地をご購入された方、または建て替えの方からの「完全注文住宅の家造り」のご要望が一番多く届きます。

土地を考える

多いエリアとして、神奈川全域が一番(相模原市近隣の市・愛甲郡・海老名市・大和市・川崎市・藤沢市・座間市・三浦市・逗子市など)、続いて相模原市内、そして横浜市内(青葉区・港南区・港北区・緑区・泉区・磯子区など)、東京都(町田、目黒、練馬など)となります。

神奈川全域からのお客様の土地は、40坪から135坪くらいの方々です。用途地域としては第一種低層住居専用地域がもっとも多く高さも厳しく制限され、敷地の広さに対して建物の大きさの制限率が容積率80%建蔽率40%~50,60%までのゆとりを感じるエリアです。

東京都内も敷地の大きさが50坪弱から100坪くらいの方々で、都内でも敷地に余裕があり、やはり第一種低層住居専用地域の閑静な住宅地です。

横浜市は、敷地面積が45坪くらいから65坪くらいまで、こちらもまた第一種低層住居専用地域の方が多く、容積率80%~100%,建蔽率40%~50%の静かな住宅地です。

上記の3エリアの高さ制限は第一種高度地区が多く北側斜線制限が厳しい法的エリアも多いです。敷地境界線のグランドラインから空に向かって5m真っ直ぐに上がったところから6/10の勾配の中に建物が入らなければならないエリアです。もし、このエリアでロフトの高さを1.4mいっぱいの高さが欲しい場合は、敷地の広さとデザインが重要になってきます。ロフトに関しては、建物の一番高いところにロフトが来るような計画が必要です。

土地を考える 洋室

例えば敷地が南北に距離が短い場合は、配置を北側から離し南側に寄せることが必須となります。その場合は建物の南側、敷地境界線との距離が狭くなるので、1階の居室に必要とされる部屋の明るさ(採光)が法的に満たされない場合があります。吹き抜けを設けて窓や天窓を設置し、1階に十分な採光を取り入れと良いでしょう。こういう場合は、1階の個室との間仕切りには引き戸を設けてLDKとその居室を1室とみなすような計算が可能ですから、そういうプランが必要です。

吹き抜け

唯、吹抜けの壁に大きな窓や天窓を取り付ける場合は、コストアップになります。敷地に余裕がある場合は、自由にプランができますね。

吹き抜けに取り付けた大きな窓

天窓の例として、北側の暗くなりがちな部屋や、水回りには、是非天窓を設けることをお勧めします。

天窓を取り付けた事例

こんなふうに明るくなります。
次に、横浜市内の敷地の環境としては、アップダウンの多い敷地が多い傾向にあります。ご依頼の敷地は、坂道の途中や丘の上だったりしますが、丘の上に建つ輸入住宅や個性的なシンプルデザインの家はご近所で評判になっているとお客様から伺いました。

高低差の激しい横浜の事例

高低差が激しい敷地が横浜市内では多いので、建物の基礎を深基礎にしたり、高基礎にしたりする場合も多々あります。

高台に建つ家は、特に断熱にこだわること、耐震にこだわることをお勧めします。
建物に風が強く当たることや、下からの巻き上げる雨風によって建物は平地に比べると負担が大きいので、立地環境を考慮することは重要になります。
また、高低差が激しいので、当然豪雨による地滑りや地震に対処し杭をしっかり打ち込むことをお勧めしています。

海辺に建つ家は、海からの砂や海水が風に乗って建物を直撃する場合は、塩害も考えなければなりません。ガレージのオーバースライダーやアップゲートの門扉などの機械やセンサー機器に砂が入って作動しなくなる場合などもありますので、砂が入っていないかなども、時々ご自身でチェックしていただくこともあると思います。
また、建物としては重い瓦は避け、外壁も風圧や海水に強い表面加工をしてある外壁材などをお勧めします。

海辺に立つ家

外壁材としては、立地環境によって建物の傷みや青かび、藻などの発生具合は違ってきますが、一般的にタイルやレンガや石張り(20~30年の耐久性があるが、目地は7~10年くらいで劣化する場合がある)の外壁材は一番耐久性が高いとされています。次に樹脂系サイディング(20年前後の耐久性があるが、つなぎ目のコーキングの劣化が外壁本体より先に劣化する)・モルタル下地そして塗り壁の仕上げ材としての塗料は、フッ素樹脂塗料や無機塗料や光触媒仕上げなどが15~25年くらいの耐久性がありますが、価格は高くなります。

ロフトのある家

上記写真は一番高い部分にロフトを設けたシンプルモダン系デザインの例です。

ステンドガラスの注文住宅の施工事例

ステンドガラスのあるドーマーから、色とりどりの光が差し込み白い壁にアクセントを与えています。

さて、当たり前のことですが、家は土地の上に建ち、周りの環境に左右され、考慮する必要があり、そこに人は生活し、人生を重ねていきます。
日本の私の家は、山のてっぺんに建て、子供たちの小学校を見下ろすことができました。アップダウンが激しい道を学校に通った子供たちは、当然足腰が鍛えられたと思います。坂の途中にあるお寺の境内に咲く桜や碁盤の目のような道の両側には銀杏並木があり、思い出と共に季節感を感じることができたと思います。
それを思うと、住む土地を選ぶことは、基準を何にするかで決まりますね。
素敵な理想の土地に出会う事で、新しい未知の世界が広がります。素敵な土地に出会い、理想の家造りができ、そこに温かな人生がうまれたること、それが一番だと思っています。

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